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知的ギフテッドの行方


本格的な受験シーズンが到来した。

 

志望校合格を目指す受験生とその保護者にとっては、長く苦しい季節だ。

 

模試の成績に一喜一憂しながら、「あーあ、天才だったらいいのにな」多くの人がそう思ったことがあるのではないだろうか。私は何度もそう思った。

 

IQ132

 

息子、倫太郎(仮名)のIQ(知能指数)だ。これはWISC‐Ⅳという知能検査の結果である。WISC‐Ⅳでは全検査IQ(FSIQ)と言う。平均が100。1標準偏差が15。倫太郎は2標準偏差以上あり、同年齢集団の2.2%ほどの人しか該当しないという高い水準の能力を有していたのだ。いわゆる‟天才”または‟知的ギフテッド”という。

 

こんな身近に‟天才”と言われる人がいたとは、本当に驚きであった。同時にそのことに気づかなかった母親として酷く後悔している。目前のことに囚われ、倫太郎の可能性の芽をいくつも摘んでしまっていたであろうことを・・・

 

しかし倫太郎は、幼少の頃から特に秀でているところは見られなかった。それどころか、小学生の頃の成績は決して思わしいものではなく、勉強への意欲も低かった。

 

高校の卒業式の日、倫太郎は「高校を卒業するまでの12年間は地獄のようだった。長い長いトンネルをやっと抜け出せた」と言った。

 

‟天才”とは、必ずしも羨ましがられるような能力ではないのかもしれない。

 

今、倫太郎は「僕のような辛さを理解してもらいたいから、ブログに書いて欲しい」と言う。

 

現在大学に進み、少し心のゆとりが出来た倫太郎は、これまでに体験し感じたことについて話してくれるようになった。その倫太郎がここまでどのように歩んできたか振り返ることで、‟知的ギフテッド”にとってどのような困難があったのか、その1ケースとして皆さんに関心を持ってもらえたらと思う。

 

そしてこれからどのように歩んでいくのか・・・

 

※知的ギフテッドとは、FSIQ;130以上の知的発達水準の極めて高い子 どもを表す教育用語である。

 

*参考文献;上野和彦他著/WISC‐Ⅳによる発達障害のアセスメント