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知的ギフテッドの行方


私が小学生の頃受けた知能検査は集団で行われており、ビネー式知能検査だったと記憶する。今般の知能検査でよく使用されているのは、ウエクスラー式知能検査である。ウエクスラー式知能検査は対象年齢によって、WPPSI(幼児用)、WISC(児童用)、WAIS(成人用)の3種類がある。

 

倫太郎が受検したのはWISC‐Ⅳ(平成23年発刊)で、対象年齢は5歳0か月から16歳11か月となっている。受検当時の倫太郎は、高校2年生で16歳10か月だった。3学期に入って不登校になっていた為、「時間があるのだから試しに能力の偏りがないか受けてみたら?」と提案した結果、しぶしぶ受検することを承諾した。そもそも興味のない事(学校の勉強等)をすること自体億劫なのだから、受検態度もよいとは言えない。近くで見ていると、時間の経過とともに集中力が低下し、倫太郎が無意味だと思う課題(数唱)では早々に切り上げてしまっていた。

 

この検査では、全検査IQ(FSIQ)と4つの指票得点が算出されるようになっている。4つの指票得点には『言語理解指標』『知覚推理指標』『ワーキングメモリー指標』『処理速度指標』がある。『言語理解』は、言葉の概念を捉え、言葉使って推論する能力、『知覚推理』は、非言語的な情報を基に推論し、新奇な情報に基づく課題処理能力、『ワーキングメモリー』は、聞いた情報を一時的に記憶に留め、その情報を操作する能力、『処理速度』は、単純な視覚情報を素早く正確に順序よく処理あるいは識別する能力、をそれぞれ測定する。

 

倫太郎の各指標の得点は、言語理解150、知覚推理139、ワーキングメモリー97、処理速度102であった。言語理解は同年齢集団内において『非常に高い』、知覚推理は『高い~非常に高い』、ワーキングメモリーは『平均』、処理速度は『平均~平均の上』ということになる。問題は、一般的能力指標(GAI)を示す言語理解・知覚推理と、認知熟達度指標(CPI)を示すワーキングメモリー・処理速度との得点の差が大きい点だ。

全米ギフテッド協会では、ギフテッド判定には、全検査IQ(FSIQ)よりも推理力を重視し、速度要因の影響を受けにくいGAIの使用を求めているという。倫太郎のGAIは149ということになる。

 

しかし倫太郎にとって、これが多くの苦悩を呼ぶ原因であった。

 

 

* 参考文献;上野和彦、松田修、小林玄、木下智子著/WISC‐Ⅳによる発達障害野アセスメント

Wechsler/日本版WISC‐Ⅳ刊行委員会編/日本版WISC知能検査補助マニュアル