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知的ギフテッドの行方


「倫太郎君は、ワンテンポ遅れるんですよね。」

 

倫太郎が小学校1年生になって、最初の保護者懇談で担任の先生から言われた言葉である。

 

「『教科書の〇〇ページを開いて』と言うと、他の子たちは教科書を開いていますが、倫太郎君は教科書を探しているという具合です。かと言って勉強についていけないわけではありません。聞いていないのかと思えば、むしろよく理解していると感じることもあります。」

と、先生も腑に落ちない様子だった。

それから、「ワンテンポ遅れます」という担任の先生の言葉を、中学生になるまで聞くことになった。

 

そのことについて、倫太郎は次のように言っている。

「僕は他の人たちの言動について『何であんなことを言ったのだろう。どうしてあんな行動をとったのだろう』と、いろいろな場面について疑問に思ったことを、授業中に思い出して考えるのが楽しかった。授業は簡単ですぐ分かるのに、先生が何度も説明するから退屈になって、そんなことを考えて過ごすようになった」

そうだったのか・・・

 

小学生低学年の倫太郎の成績は普通だった。

倫太郎曰く、「設問によってはいろいろな意味に取れるものがあり、回答の選択肢が多くて何を答えればいいか迷うことがあった。設問を深読みしてしまい失点したこともあった。だから学校の勉強が嫌いだった」。

言語推理能力の高さが単純な回答を避ける結果となり、成績に影響したとするとやるせない気持ちになる。。